気分は日記

あんまり調べずに書く、よくある感じの日記です。

歯医者にゆく

僕は,とかくめんどくさがり屋である.明日できることを今日するのは,なんだか馬鹿らしく思えてしまうのだ.洗濯物も基本的に山積であるし,レンタルビデオはそう易々と返さない.期限ぎりぎりにならなくては動かない.なにが言いたいのか.歯医者が嫌いなのだ.

人間は様々な病気にかかる.それらのほとんどは気合で治ると思っている.切り傷はつば付けときゃなおる.しかしながら,腫瘍の類と歯痛だけはお手上げです.上京してすぐの春,僕は歯痛に悩まされていた.受験期にチョコレートを食べ過ぎたせいだ.侵食は深く,咥内から頭に向けて指を突っ込まれるような痛みに悶絶する.一人暮らしの部屋で歯痛に苦しんだ.ああかあちゃん,東京はさみしいところです.そちらは冷え込んでいませんか.ぼくは,とても,さむい.軽いホームシックに掛かりながら歯医者に駆け込んだ.このとき,東京の怖さ,可愛いだけではやっていけないということ,そういったカルマ的なものを,虫歯という痛みを通じて学んだように思う.どんなに訛りを隠してみても,エナメル質は作れない.着飾ったって象牙質は再生しないのが凡人の常なのだ.クラーク博士は大志を抱けと言った.しかし,無理なことは無理と受け入れることも,人間には必要だ.人生は様々な示唆に富んでいる.僕たちは,歯痛からより多くのことを学べるのではないか?3年たった今でも,僕には治せない.そうだ,歯医者へ行こう.

なんせ3年ぶりである.文明の進歩甚だしいこの21世紀,歯科医療器具の発達も想像を越えているに違いない.僕のちいさな胸は高鳴りっぱなしである.場合ならば恋と勘違いしてしまうやもしれぬトキメキだ.前日から保険証の用意も抜かりない.目覚し時計も今にも鳴らん勢いだ.朝一番で乗りこんでやる!つもりがみごと寝坊.さらに予想以上の混みっぷりに辟易.飛び込みで行ったため,2時間近く待たされる.治療は3年前とさほどかわらずでがっかり.救いはドクターの腕が良かったことか.やはり恋とは,遠きにありて思うもの,か.まあこれを機に,咥内をリフレッシュするつもり.ナウく言えば,これが僕のマニフェストである.苦笑いすればいい.