気分は日記

あんまり調べずに書く、よくある感じの日記です。

簡単日記(20240524)

J・M・クッツェー 著、くぼたのぞみ 訳『ポーランドの人』を読む。ポーランド出身の老ピアニスト・ヴィトルトがバルセロナの音楽サロンでベアトリスに一目惚れし、その想いを持ちながら亡くなるまでの話。ヴィトルトがベアトリスに寄せる盲目的な想いはベアトリスにはピンとこないし、ベアトリスがヴィトルトに期待するムードはヴィトルトにはまったく伝わらない。言語の不自由さに由来する距離があり、それは音楽でも超えられず、やっと詩によって決定的にすれ違っていたことが表現されていて、「恋愛」とはいかに独りよがりな妄想であるかが示される。ヴィトルトがショパンで評価を得ていたのも、ロマンティシズムへの皮肉に感じた。