気分は日記

あんまり調べずに書く、よくある感じの日記です。

少年が来る

ハン・ガン 著、井手俊作 訳『少年が来る』を読む。社会の大きなうねりの中で生まれる暴力の加害者、被害者といった役割を担うことになってしまった個人のその後の生、そのうねりの先にある今を生きる我々について。個人の魂が社会の文脈によってすり潰されないように、あくまで慎重に書かれた作品だと思った。

韓国が過去軍事政権にあり、その民主化の過程で軍と市民の大規模な衝突が起こっていたということを、ぼくはこの本を読むまで知らなかった。その象徴的な争いがこの本で語られる『光州事件』だそう。過去確かにあった出来事と、そこに生きた人たちのことを、ぼくは「今この時点の正義」と「今この時点の社会」を手元に置きながらも、目を曇らせずに想い/寄り添うことが出来るようにならなくてはいけない。

少年が来る (新しい韓国の文学)

少年が来る (新しい韓国の文学)