気分は日記

あんまり調べずに書く、よくある感じの日記です。

ポンジュノ

ポンジュノ監督『パラサイト』を見た。半地下に住む家族が豪邸に住む裕福な家庭に次々と喰い込んでいく話。ポンジュノ作品では『ほえる犬は噛まない』がぼくは好きなんだけど、『パラサイト』は話の大きさ感が『ほえる犬〜』に近いというか、最近のCGゴリゴリ超大作群よりも作品の身体性が高い/良い感じにコントロール効いてる印象があったの面白かった。監督の得意な間合いみたいなやつ。

ほえる犬は噛まない(字幕版)

ほえる犬は噛まない(字幕版)

  • 発売日: 2014/06/07
  • メディア: Prime Video

『パラサイト』する側、半地下家族がみんな有能なのがめちゃくちゃ皮肉で、ただチャンスがないだけで全ての人が紙一重な事実を想像させるヒリヒリする表現だと思った。無計画であればそもそも期待なんてしないし、だから挫折や悲しさを感じない。どうせ叶わないから計画なんてしないなんて、辛すぎる思考の到達点なんだよな。

計画・実行・失敗しやり方を変えて少し上手くいく。その繰り返しで自信や選択肢を得ていくことが成功体験だと思うのだけど、そのためにはやり直しの機会を得られる環境とそれを支える経済的余裕が必要で、その双方を持たない人間はどんどん先細っていき、最後には諦めてしまう。本人の資質の問題ではない。

あと『パラサイト』される側の家族が最後まで“悪意のない善良な人たち”として描かれてたの印象的だった。ただし娘にとって家庭教師は代替可能であり、妻の家政婦はチャパグリと同じく手軽な手段で運転手は性的魅力を感じる対象ではなく、社長には一線を超えない足でしかない。自分たちが招き入れてるのになあ。

「今こういう状態が存在しているんですよ」と伝えるためのアプローチとして(ポンジュノの資質なんだろなと思う)あの泣き笑いみたいなリアリティラインを採用するわけだけど、その飲み込みやすく配慮された作品が例えば作中のIT社長みたいな人にどう届いているのか、みんなどう思ったんだろうかと余韻の残る作品でした。