- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 新書
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頭のいい男がロジックだけで、現実をねじ伏せる快感。駆け引き、伏線、帳尻合わせ。あれだ、「ぐうの音も出ない」状態にされる気持ちよさ。そんなスピード感のあるお話でした。作中作である『タンジール蜜柑共和国への帰還』も単品の作品としても面白くて、村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の“世界の終り”や、リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』みたいな雰囲気で好みでした。でも決定的に違うのは、ミステリってやっぱりマッチョの世界だっちゅーこと。ファンタジーの仕組みがロジックで暴かれて、現実の出来事として消化されていく様は楽しいけど、ちょっと寂しくもあるんだよね。身体的/感情的に共感する面白さとは対照的に、頭で理解する気持ちよさを楽しむものなのかな、なんてなー。たいへん爽快。